『処刑少女の生きる道』。GA大賞七年ぶりの大賞作品はいかほどのものだったか。

どもー、今回読んだのは、GA文庫より刊行、処刑少女の生きる道。

生きる道、と書いて、バージンロード。

 

GA大賞七年ぶりの大賞、と聞いて、楽しみにしながら読んでみたけど……

 

すっごい、よかったね!!!!!

 

第一印象なんだけど、女性主人公の作品ってこと自体で、もともと僕はめちゃくちゃすごいとおもってたんですよね。

ライトノベル界隈の話とか調べてみると、女性主人公の作品って、ストップかけられがちだっていうし、百合的な展開とかも、アニメとかだともてはやされるけれど、ライトノベル系の企画だとそこまでプラスにはならない、見たいな話も……

いや、噂話みたいなやつの集まりみたいなとこから拾ってきた情報なんで、真に受けないでほしいですが。

 

まず、やっぱ冒頭がいい。

異世界転生ものをメタにした作品っていうのはたくさんありますよね。

「これはまさか…………うわさに聞く異世界転生ってやつなのでは! インターネットで読んだことがある!」

みたいな始まり方でスタートする作品も、ある意味、そうですよね。

ネット小説って、へんな言い方になりますけど、「クローズドな公共性」が支配している場所だと思うんですけど、そういった場所で通用する文脈をモロに最初に持ってくるっていうのも、「一種の王道パロディネタ」みたいになってる、っていう。

そして、この作品は、そういうメタそのものをさらにメタにしたところからぶっちぎって始まってる。

そして、それ自体が、読者になじみやすさを与えるのと同時に、キャラクターたちのトリッキーなセリフとか、この作品ならではの要素を力技で読者に認めさせるのに、そのまま一役買っている。

技あり要素だなって、感心した。

 

この小説は、キャラクター小説とも呼ばれる(この呼ばれ方、もう古いか?)ライトノベルの新人賞作品らしく、キャラクターもめちゃくちゃいい。

全員、タガの外れたところがあるんですけど、そういったところの描写の仕方がうまい。

具体的にいうと、キャラクターが「何でそんな風におかしくなっちゃったの?」っていう部分が、うまい。

モモっていう、主人公の女の子であるメノウにべたぼれしてる感じの女の子がいるんですけど、個人的に、この娘、この作品のMVPだと思うんですよねぇ。

まともだと信じるからやっている行為そのものが、だんだんとゆがんだ形で、己の一部になっていく中に、少女らしい純粋性がある。大好き!!!!!!!

 

あと、「ラスボス」。

これも、すごいよかった。

異常性が、最小のボリュームで最大限表現されている感じがして。

 

この作品は、ワードセンスもすごい、いいんですよねぇ。

魔法、ていうものが、導力、ていう概念で表されていて、メノウやモモが戦うときには、この世界の聖書の言葉が持ち出されているんですけど、そいつが、カッコイイんすよ。

 

そしてなにより、「バージンロード」って言葉。

漂白された世界から生き残った主人公メノウの歩む人生とかけているんだけど、それに、幸せの象徴たる無垢な花嫁の道って意味の言葉と掛け合わせるのは、ジーンと来るものがあったね……!

 

「バージンロードの長い道は、花嫁さんの生まれてから今までの人生を表しています。 ... 退場するときにはそこから新しい人生が始まるという意味が込められているんです」

 

↑は、バージンロードってネット検索したら、出てきた説明。

 

続き読むのが楽しみな作品!!!!!